こんにちは!舞台監督のM.Kです。
辛夷祭から早くも一週間が経ち、日常生活が戻りつつあります。大道具がなくなった教室、衣装が積まれていない机……写真の整理をするだけでもとっても寂しい気持ちになります。
思えば、夢みたいな8ヶ月間でした。
初めてOVER SMILEの脚本を知ったときの衝撃は今でも覚えています。手話や殺陣にときめくのはもちろんですが、なにより結末がお約束のハッピーエンドにはならないことに、この物語の切実な祈りを感じました。
そして私たちも、この脚本を選んだからにはその想いを全力で伝えなければならない。そんな義務感さえ抱きました。
殺陣、ダンス、手話、舞台に至るまで、実はH組のメンバーが一から調べて考えて作っています。完成させるまでには様々な先生や知識のある方に相談させていただき、試行錯誤を重ねました。たくさんの壁にあたり、その度に悩み、焦り、励まし合い、一人では何もできない無力さを痛感するとともに、周りに仲間がいることの温かさを実感する毎日でした。
この8ヶ月間のスタッフたちの熱意を、少し長くはなりますが語らせてください。
キャストのオーディション結果が決まってから真っ先に動き出したのは衣装担当でした。未完成の台本をもとに各国の世界観を思い描き、それぞれに似合う華やかな衣装を時間をかけて探してくれました。一番初めにこの物語に息を吹き込んでくれた立役者です。
三役や脚本がもつイメージ、キャストの希望も聞きながら、限られた予算のやりくりに奔走する姿をすぐ近くで見てきました。大変なことばかりだったと思いますが、いつもとっても楽しそうで、そのエネルギーに背中を押されました。
撮影日やゲネ、当日のメイクも、キャストみんなに似合ったもので、開演前からワクワクが止まらなかったです!実は三役も最終日はおそろいのヘアメイクをしてもらって練り歩きに臨みました。
最後までたっぷり愛情を注いでくれて、本当にありがとう!
もうひとつキャストを彩るのに欠かせないのが小道具。レッドエイジの剣士は木刀、ミヤビはクナイを使うなど、それぞれの国のイメージに合わせてデザインを選んでくれました。ちなみにバタクの剣はぴったりのものが見つからず、三役補佐T.Kくんが自作。とってもクオリティが高くてあっぱれです。
ちなみに序幕のダンスでキャストたちが持っていた旗や舞台・階段を覆う布は、裁縫職人という異名がついたユニ責W.Kちゃんの作品です。ラスト一週間はスーツケースいっぱいの布との登下校で、世界一周もできそうな頼もしさがありました笑
大道具はハプニングの連続でギリギリまでどうなるか本当に不安でしたが、頼もしいキャストリーダーのK.Fちゃんや音響と兼任しているT.Aくんが力を合わせて図面を完成させ、なんとか安全面をクリアできる自作舞台を完成させてくれました。土壇場の強さはH組の代名詞ですね。
続いて私も参加した制作。クラスメイトが8月末に留学のため日本を発ってしまうということで、パンフレット完成日を早めました。人数が多い演劇だからこそ、各キャラクターの個性を活かせるレイアウトにしようと相関図スタイルに。私たちの解釈を載せるよりも、観客のみなさんひとりひとりにとっての「推しキャラ」を見つけてほしいという想いから、写真の形やサイズは変えず、紹介文の長さも短く統一しました。
4日間の撮影日には、他クラスのIくんにも協力してもらって、初心者カメラマン兼リッチモンド役のTくんの手で最高の写真が続々と生み出されていました。
「もうちょっと目に力いれてー」
「そう、ふっと笑って!」
「いいねー、次ニヤッと!」
賑やかで楽しい現場です笑
真っ白のパワポの画面に、写真や言葉、光彩を足していく作業はワクワクの連続。更地にOVER SMILEの世界を組み立てていくような、底知れぬ高揚感をたっぷり味わいました。だってみんな、本当にかっこいいんだもん。
ポスター制作でも背中で役を語れるキャストのみんなに圧倒されました。シンプルなデザインでしたが、みんなのおかげでOVER SMILEの世界観を感じられるものになりました。急遽イラストを描いてくれたR.Kちゃん、キャストとしての練習の合間を縫って看板制作に尽力してくれたY.TくんとK.Tちゃん、絵を描いてくれたA.Iちゃん、他にも手伝ってくれたみんな、ありがとう。収束していくオバスマ愛が見られて、ほんとに嬉しかった。
そして、こだわり抜こう!って約束でいつでも相談にのってくれて、たくさん意見をくれて、複雑な注文時に慌てたときも深夜まで付き合ってくれたY.Tくん、本当にありがとう。Tくんのおかげで、苦しいことも笑って吹き飛ばせたし、LINE電話にもすっかり慣れました笑
Tくんといえば、前夜祭を先陣を切って作り上げてくれた人でもあります。私はダンスがとっても苦手なんですが、あんまりにもみんなが楽しそうなので、思わず参加してしまいました(案の定本番盛大にずれちゃった……ごめん!)。美脚な男子sもキュートな女子たちもばっちりキメてくれるキャスト陣も、みんな本気で楽しんだ前夜祭のパフォーマンスはまさにH組そのもの!盛り上がりすぎて、舞台上だってこと忘れそうでした笑
照明と音響は演出のM.Mちゃんが書いてくれると思うので、私からはこのくらいにしておきたいと思います。こんなに長くなるはずじゃなかったんだけど……ごめんなさい。
OVER SMILEという劇の中には、今の時代を生きる私たちにとって未知のものが詰まっています。戦乱の世、耳が聞こえない女の子、世界中の色々な地域の人々の出会い、時空を操る能力……その中でこの物語を貫いていた軸は、ひたすら純粋な「伝えたい」という想いです。何事も思い通りにならないもどかしさを抱えて生きる私たちだからこそ、達成したときの嬉しさは何十倍にもなる。理解しようと歩み寄ってくれる人を感じて、その存在の大切さを知ることができる。
失敗ばかりしてきたH組で、理想と現実の狭間で悩むことも多い日々でした。後悔だっていっぱいある。でも、やり直したいとは思っていません。たくさんの奇跡が織り重なって、今の私たちになりました。本当に仲良くなったし、強くなった。どんなに遠く不安な未来も、愛すべき今を積み重ねていけば、案外すぐたどり着いてしまう場所でした。
みなさんも、どうか新しい世界に踏み出すことを怖がらないで。そして隣にいてくれる人のことを忘れないでほしいです。きっと自分が思っているよりも沢山の人に、あなたは守られているから。
「こえ」という手話は、親指と人差し指で作った小さな円を喉の奥から手前へそっと送り出すものです。その円は歪で弱く、簡単に壊れてしまうでしょう。でもそれを二つ重ねてまっすぐ前へ伸ばすとき、それは「続く」という意味になります。
不器用な私たちにぴったりです。誰一人完璧じゃないからこそ繋がりはより強固になるし、想いはずっと消えないものになる。
OVER SMILEに教えてもらいました。
ここまで走ってきた仲間たちへ、そして支えてくれたみなさんへ、伝えきれない感謝の思いを胸に、これからも夢へ向かって進み続けます。
過去の価値を決めるのは、きっと未来のわたしたち。
いつか、OVER SMILEがあったからここまで来れたよって、そう胸を張って言えるくらいのところまで辿り着けたらいいな。
3年H組 舞台監督
わぁすごいですね😄
舞監ありがとう❣️頼れるぶかん!
ぶかんおつかれ‼️‼️